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​植島美術館 見学

2024年08月31日  見学  

東京都渋谷区にある植島美術館を訪問し、展示されている植島コレクションの作品について、学芸員の方に一作品ずつ丁寧に解説していただきました。

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 今回は、UESHIMA MUSEUMを見学させていただき、現代アートと医学の接点について考えました。この美術館は、植島幹九郎の母校でもある渋谷教育学園の敷地内に位置し、 1988年に設立されたブリティッシュ・スクール・イン・東京の跡地に立つ建物です。地下1階から地上6階までの7フロアに、様々なテーマに沿って選び抜いた作品が並びます。600点以上のコレクションの中から厳選された、現代アートの展望を描いたような作品、設計には大変驚かされました。まず目を釘付けにされたのは、入口を進んで正面に見える大きな鹿の作品「Pixcell Deer」です。大小様々な大きさのガラスのビーズを使って鹿のレプリカの表面を覆いつくしたその作品は、一際輝きを放ち私達を出迎えてくれました。

 今回は、藝大の十数名の方々と一緒に、学芸員の小林健さまに一作品ずつ丁寧に解説してもらいながら巡るという大変貴重な機会をいただきました。地下1階には、風景画をベースにした作品から徐々に抽象度が高い作品へと展示されています。遠近法の構図が一つの絵の中に複数見て取れる作品は、従来の西洋美術の描き方とは方向性が異なり、絵画全体としてのまとまりも感じ取れる作品でした。

 

 他の階にはさらに抽象的な作品も数多くあり、一瞥しただけでははっきりと意味を汲み取れないものもありました。その作品たちに出会うたび、見ている我々自身に解釈を委ねているようでした。人間の臓器を絵や彫刻で表現した作品をみたときには、医療を背景としていても人によっては全く別のものに解釈することもあり、読み取り方に裏打ちされた観測者の個性を伺うことができました。また、Covid 19の流行時に隔離された生活を表現する作品もありました。黒い網目が張り巡らされ、宙吊りにされた椅子。人間は一切出てこないのに、誰も座っていないと感じさせるその椅子は、どこか寂しさを感じさせる作品にも思えます。離れて暮らすことになったのか、亡くなってしまったのか考えさせられました。医学に関わる作品も数多くあるなか、人間や生活の捉え方の多様性を感じることができたと思います。

 また、科学的な要素のある作品も見ることができました。コンピューターの計算処理の様子を題材とした作品や、アルゴリズムで規則的に動く作品、固体のナフタレンを使った動物像など絵や写真にとどまらない現代美術の幅の広さには、感銘を受けました。今後の現代アートの行方と、この美術館に次はどんな作品が展示されるのかとても興味深いところです。


 藝大の方々ともお話をする機会があったので、今度も藝大との関わりを深め、共同企画なども進めていきたいと思います。最後になりましたが、学生のためにお時間を作ってくださった小林さまをはじめ美術館の方々、この訪問をサポートしてくださった麻生さま、そして今回お世話になった全ての方々に、厚く御礼申し上げます。


AMS学生プロジェクト メンバー一同

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