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第二回 緩和ケア科における音楽療法 - 音楽療法の方法と実際

2024年03月18日  講義  

東京・広尾の日本赤十字社医療センター(以下、日赤医療センター)内にて、「第二回 緩和ケア科における音楽療法 - 音楽療法の方法と実際」と題し、2人の先生方からご講演いただきました。

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今回は、声楽のバックグラウンドをお持ちで、日赤医療センターで音楽療法士としてご活動されている新倉晶子先生に、緩和ケア病棟における音楽療法についてご講演いただきました。


講義の中で実際の事例を数多くご紹介してくださり、音楽療法の現場をリアルにイメージすることができました。中でも、亡くなる直前の若いがん患者さんが新倉先生の歌を笑顔で聴き、声にならない声で「嬉しい」と語る動画は非常に印象的でした。
中盤には、音楽療法体験ということで、終末期のシナリオに沿って『故郷』を歌っていただきました。1番は、緩和ケア病棟に入ってきたばかりの頃にラウンジで一緒に歌う歌い方。2番は、病状が進行した患者さんに向けて、個室で演奏する歌い方。3番は、看取りの際の歌い方。どれもテンポや声の出し方が異なり、状況を思い浮かべながら聴くと心に響いてくる演奏でした。看取りの状況では、歌を聴いているうちに患者さんの呼吸が整ってきてまるで一緒に歌っているかのように見えることがあるそうで、患者さんご本人だけでなく、その様子を見たご家族の方にとっても、枕元でかけた声が応答はなくとも届いていることを実感でき、癒し効果があるとのことでした。
終末期の患者さんは音に敏感になるため、譜面よりも音を減らしてソフトな音で演奏するほか、椅子を動かす音や話し声などにも配慮するそうです。音楽療法のことだけでなく、緩和ケアの現場で働く方が日々どんなことを感じ、どんなことに気を配りながら患者さんと向き合っているかを知ることができ、大変勉強になりました。

最後になりましたが、貴重なお話をお聞かせくださった新倉昌子先生、および、このような機会を作ってくださった日赤医療センター長の中島淳先生に心より御礼申し上げます。


東京大学医学部医学科3年 水田真美

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