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​Yo Yo Ma先生との対話

2023年10月28日  学び  

今回は谷口先生のご紹介で、所沢市民文化センターで行われたYo Yo Maさん夫妻の演奏会に参加させていただき、様々な時代のデュオを聴かせていただきました。また開演直前に30分以上も貴重な時間をいただき、Yo Yo Maさんとお話しする機会をいただきました。

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 ご高明な方だけあって、日常的な話をすっ飛ばしていきなり深いお話に入り、演奏テクニックの部分と感情的な部分をどうやって両立させるのかについての演奏に関するお話から、「人生とは実験の繰り返しだ」というような哲学のお話まで広く伺いました。これらの話はYo Yo Maさんもおっしゃっていた通り、私たち医学など音楽以外の道を志す人にとっても同じで、どのように医学的に正しい判断や説明を行いつつ、患者の人間的な部分にアプローチしていくかという問題や、教科書通りの大学で習った知識にとどまらず医者になってから(あるいは私生活において)どのように前進して人生を豊かにしていくのかという点で参考になると思いました。

 また、一人のチェリストとして、時に感じてしまう楽曲との距離感、すなわち音の並びに感情を読み取れない問題についても質問したところ、そういう時にはシンプルな音に立ち返り、「チェロと友達になる」ことから始めようとの助言をいただきました。複雑になり過ぎた時には常に基礎に立ち返るという考え方は勉強では僕にも馴染みのある考え方であり、全く違う世界ですが共通するところを感じました。

 この会話は全くの成り行き上のものでしたが、その後コンサートのプログラムに含まれていたArvo Pärt作曲Spiegel im Spiegel(鏡の中の鏡)はまるでこの質問への回答のような曲でした。この曲はご夫妻の出会いの時の思い出の曲であったそうで、非常にシンプルな音列の繰り返しが10分ほど続く曲でした。シンプルな音列が「鏡」同士で反射して増幅して音色を獲得していく過程を再現したような曲で、ただ弾くだけでは退屈になりかねない曲でしたが、Yo Yo Maさんご夫妻の手で非常に心地よい音響空間へと昇華していました。

 

 対談とコンサート合わせて、これから自分がやりたいことを考えさせられるとてもinspiringな経験をさせていただいたと思います。ありがとうございました。

 東京大学医学部4年 圓道歌織

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