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AMSS Memoirs

2020. 7. 4

AMSS 福祉医療グループ (2)

  AMSS 福祉医療グループの第2回ミーティングで扱った議題や行われた議論,それを踏まえた考察をまとめる。

問題提起

・医療・福祉・芸術の関係性は?

・アートとはなにか,芸術とはなにか?

・「治癒」とはどのようなことか?

・絵画とはなにか?

 

内容

ナイチンゲールは良い看護の基準として,生命エネルギーを消耗しないことを挙げた。ナイチンゲールが意図した「生命エネルギー」とは何だったのか,という疑問から,相互に関係し合う医療・福祉・芸術という3つの領域で,それぞれ病の治癒・生活の回復・無知からの気づき,という人を「耕す」プロセスがあるのではないか,という仮説が立てられる。この仮設に対して,3領域のときに補完しあい,ときに対立する微妙な関係性や,アートがこれからの生活や医療にどのように関わっていけるかについて,多彩なバックグラウンドのメンバーで議論した。

 

疑問

・日本語での「芸術」という語はどのような経緯で定められ,どのような含意の変遷があるのか?

・薬に変わるアプローチとしての芸術の可能性はあるのか?

・現在までに芸術療法は国内外でどのように行われてきたか?

・現状芸術療法が広まっていない理由はなぜなのか?

・今後の音楽療法の発展はどのようなものがあるのか(作業療法的な使い方以上の可能性)?

・人間存在に真に働きかけるものは何なのか?

・正常,異常,健康,病気とは?

介護原論により語られているケアの対象論では、人間の生きる過程を、生命過程、生活過程、認識過程の3つに分類ことにより、看護師がどの過程に対して働きかけられるのか、また看護とは何かを整理して考察されている。

この3つの過程それぞれにおける、「病気」「治療」の定義を考察することにより、医療、福祉、芸術それぞれの役割、関係性、共通点が見出せるのではないかと考えた。

「医療」における対象は「生命過程」であり病気=「病変」を「取り除く」事を治療としている。

「看護」における対象は「生活過程」であり病気=「回復過程」を「適切に整える」事を治療としている。

ここから「芸術」における対象は「認識過程」に対応出来、病気=「未認識」を「気付かせること」が治療にあたるのではないかと仮説を立てた。

Artの語源がars=技術とあることから医療、福祉、芸術が暮らしを豊かにする技術として、根源的に繋がっているのではないだろうか?

 

議論の中で挙がったこと

・それぞれの領域が関係すること、また治療は必ずしもいい方向に向かうとは限らないのではないか?(癌の告知、薬の過剰摂取など)

→大切なのは対象や、相互の関係性をよく観察することではないだろうか

・普通とは?障害とは?病気とは?社会の在り方や多様性に伴って考え方が変わってきている

・芸術療法がまだまだ浸透していない

→原始的なレベルでの活用に留まっている?もっと認識過程に働きかけるレベルでの活用が出来たらいい

・ナイチンゲールの提唱する「生命エネルギー」とは何か?

・芸術における治療の効果などエビデンスをどう取ればいいのか?

・芸術療法は予防や民間医療の活用に効果があるかも?

・医療、福祉、芸術の3つの視点から同時にアプローチ出来る総合的な施設を将来実現させたい

 

小久江峻

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